12月26日 通院日。
その日は、何年ぶりかにオットちゃんに付き添ってもらった。
というのも、その2日前―。
朝、ツマが起きたてに
「頭の中に、蜘蛛がいる」
と言ったからだ。もちろん、頭の中に蜘蛛などいない事はわかっている。だが、大きい黒い蜘蛛が、ガサガサと足を広げ脳を掴み、糸を張り巡らせ覆いかぶさり支配されてしまう…そんなイメージが突然襲いかかり、あまりにリアルな感覚としてずっと離れなかったのでそう言ったのだ。
それは半日で治まったものの、オットちゃんはツマが幻覚を見るようになってしまったのかと思い、通院に付き添うと言い出した。
そして通院日。
まずは看護師さんと話をし、状態を伝える。自分でも困惑するほど話し方が遅く下手だった。それでもなんとか伝えると、今日はキャンセルが1人出たので、時間が取れるからご主人も先生と話をしてもらってツマさんの状態をわかってもらったほうがいいわね、ということになった。
程なくして先生に呼ばれ、まず先生とツマで話をした。
先生は、
「もう限界にきているのに、これ以上落ちてしまうと入院も考えなければならなくなってしまうから、仕事は最低1ヶ月はしっかり休むようにしてくださいね。何もしない日を作って。図々しいくらいに(笑)今まで、自分を犠牲にして周りの人の人生を支えてきたから、周りを犠牲にするのは慣れてないかもしれないけど、ツマさんがあっての周りなのよ。協力してもらって当然なの。だから、もっと図々しくていいんです。今は、生活リズムを作るとかいう時期ではなく、とにかく休まなきゃいけない時。今まですごく頑張ってきたんだから、休んでいいんですよ。」
と言った。
オットちゃんには、先生から“今はとにかくゆっくり休む時”ということを、今までの経過も含めサポートしてもらうよう言ってもらうことになった。
最後に先生が、「でもご主人、最初だけで長続きしないのが欠点なんですよね(苦笑)」と言った。そう、この先生には何でも話しているのでオットちゃんの欠点もよくご存知なのだ。
今まで幾度となく先生からの言葉をオットちゃんに伝えてきたが、優しく理解してくれるのはほんの数週間。育児家事、仕事のストレスに耐え切れず、それを見てるツマも耐え切れず、無理矢理治ったふりをし自分を誤魔化してきた。それを知っていてくれる先生の存在はツマにとってとても大きい。
そして、オットちゃんと先生が話をし、その日は眠剤を追加されて終わった。
オットちゃんは特別何も話さなかった。わかったのかわかっていないのか、「どうだった?」と聞いても詳しく答えないので、それ以上聞かなかった。
次は1月15日。
平日だがオットちゃんは次も付き添うと言う。
だが、実はもう去年の通院日からそんなに経っていないのに、もうオットちゃんの限界が一度来ている。
休み中、イライラしているなと思った矢先、突然「ちょっと一人の時間をくれ」と言い残して出て行った。お昼近かったのでどうしようと思い、とりあえず近くのマックにコドモたちを連れて行き遊ばせてたら戻ってきた。
そうされるとツマは、やはりゆっくり治すとは行かないか…と思ってしまう。
爆発する予兆がある前に必ず、一人でゆっくり出かけてきたら?と言うのだが、オットちゃんは聞かない。
もしかしたら、ツマだけではなく、二人で心の治療をするほうが早いのかも…と思ってしまう今日この頃だ。